BLACK FINGER〜From Shibuya with Love / V.A.
(2007.07.11)

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BLACK FINGER〜From Shibuya with Love / V.A.

VIA-0065 ¥2,400(Tax In) 2007/07/11 release


BLACK FINGERがコンパイルする、日本のNEW JAZZシーンの強力アルバム!!コンピレイションでありながらストーリーを持つ、シネマティックな1枚!新曲、未発表を盛り込んだ、『BLACK FINGER』の第2弾!!
国産クラブ・ジャズにフォーカスしたセレクトは、SLEEP WALKERの未発表曲、KYOTO JAZZ MASSIVEの10周年記念ライヴ音源、更にはUFOからSOIL&”PIMP”SESSIONSまでを網羅した豪華な内容。世界中から注目を集めるジャパニーズ・クラブ・ジャズの歴史を凝縮した記念すべき作品となっている。中でも、注目は沖野修也自らが作曲した「BLACK FINGERのテーマ」は珠玉の名曲。


1.THEME OF BLACK FINGER / BLACK FINGER
2.IGNITION HEADS / SLEEP WALKER
3.FUSELAGE / ROOT SOUL
4.逆襲のテーマ (CRO-MAGNON’S REVENGE MIX) / CRO-MAGNON
5.SCOOP OUT / SOIL & “PIMP” SESSIONS
6.ECLIPSE (LIVE VERSION) / KYOTO JAZZ MASSIVE LIVE SET
7.RITA (STUDIO LIVE VERSION) / JAZZTRONIK
8.oneself-LIKENESS / quasimode
9.FRIENDS-WE’LL BE / UNITED FUTURE ORGANIZATION
10.WALTZ FOR JASON (YOSHIHIRO OKINO RE-EDIT) / HAJIME YOSHIZAWA
11. LOVE IS EVERYWHERE / MASA COLLECTIVE feat.VALERIE ETIENNE & ROB GALLAGHER




主演・監督・脚本・音楽監督 沖野修也
出演 ラファエル・セバーグ(United Future Organization)、ジョアン・ラポルト他
主題歌「ブラック・フィンガーのテーマ」(ヴィレッジ・アゲイン)
協力 ザ・ルーム、@Fケータイ応援団
企画・制作 有限会社エクストラ・フリーダム



STORY
 浮気調査や借金の取り立て、果ては、ペット探しから小学生の護衛までを引き受ける2流探偵黒井指夫。しかし、真夜中に暗躍する彼の本当の姿は、世紀の怪盗‘ブラック・フィンガー’。犯罪者であるにも関わらず、大物財界人や悪徳政治家との対立構造によって、いつしか彼は国民的英雄として絶大な人気を博していた・・・。
 彼の新たなターゲットは、渋谷に完成した高級高層ビルディング‘桜ヶ丘ヒルズ’。ミュージアムで展示中の国際的な財宝を華麗なるテクニックで盗み出したブラック・フィンガーだったが、彼は逃走中に何者かに襲撃され、瀕死の重傷を負ってしまう。ブラック・フィンガーを助け出したのは、元恋人、フジコ。彼女は彼を匿い、懸命な看病を続ける。生死を彷徨ったブラック・フィンガーは、驚異的な生命力で体力を回復。探偵として、黒井は自分を襲い財宝を横取りした人物を割り出そうとする。そして、フジコの協力を得て辿り着いたのは、謎の貿易商‘ミスター・グリーン’。そう、彼こそが、盗品専門の輸出入のプロ、怪人‘グリーン・フィンガー’だったのだ。
 かくして犯罪者同志の仁義なき闘いの幕が切って落とされた。ブラック・フィンガーは、自らのプライドに賭けて財宝の奪還に乗り出す。もう、二度と同じ失敗を繰り返す事は許されない。ところが、ブラック・フィンガーに協力的だったフジコが不穏な動きを見せ始める。実は、彼女はグリーン・フィンガーとも連絡を取っていたのだ・・・。
 何も知らないブラック・フィンガーは、グリーン・フィンガーのアジトに潜入する。勿論、それはあらかじめ画策された罠。追い詰められたブラック・フィンガーの目の前に立ちはだかったのは、銃口を向けるフジコだった。躊躇するフジコを急き立てるグリーン・フィンガー。ところが、そこに突如として現れたのは、ブラック・フィンガーを追ってアジトに辿り着いた服部刑事だった。複雑な思惑が交錯し、ブラック・フィンガーを取り巻く3人の緊張がピークに達した瞬間、フジコが狙いを定めた相手は、誰もが予想をしなかった意外な人物だった・・・。




1.THEME OF BLACK FINGER / BLACK FINGER

BLACK FINGERこと沖野修也による書下ろしの新曲。リズム・トラックは打ち込みだが、インストゥルメンタリストは中村雅人(サックス)と吉澤はじめ(ピアノ)のSLEEP WALKERの2人に、ROOT SOULの池田憲一(ベース)、SOIL & "PIMP" SESSIONSのタブゾンビ(トランペット)という構成で、ヴォーカルにはKOOPやSLEEP WALKERへの客演でおなじみのYUKIMI NAGANOがフィーチャーされている。大都会の孤独な情景を切り取ったようなハードボイルドなトランペットとサックスに続き、6/8拍のビートが刻まれる緊迫感に満ちたオープニング。モーダルな曲調に幻想的なスキャットとスペイシーなキーボードが交わり、ストイックな中にも男のロマンが滲み出たかのような、正しくフィルム・ノワールな世界。BLACK FINGERのストーリーに相応しいテーマ曲である。なお、YUKIMI NAGANOは今夏、ソロ・プロジェクトであるLITTLE DRAGON名義で初のアルバムをリリース。今までのジャズにフォーカスしたサウンドとはまた違う、非常にユニークな世界を披露している。

2.IGNITION HEADS / SLEEP WALKER

先に『WORKS』を発表したSLEEP WALKER。この『WORKS』には彼らの初CD化作品なども含まれていたが、本作「IGNITION HEADS」は、そこにも未収録の貴重な音源。彼らが「AI NO KAWA」で公式デビューする以前、98年にエスペシャル・レコーズよりプロモ盤として配布されたサンプラー12インチに収録されていたものだ。メンバーは中村雅人(サックス)、吉澤はじめ(ピアノ)、藤井伸昭(ドラム)のほか、初代ベーシストの白鳥利卓が参加している。硬質なジャズ・ロック調のナンバーで、前述の「AI NO KAWA」はじめ、「AI NO UMI」、「AI NO TABI」といった代表作とはまた趣を異にするが、こうした音楽性も彼らは有しているのである。エレクトリック・ジャズ時代のHERBIE HANCOCKやMILES DAVIS、または初期EARTH, WIND & FIREにも通じる世界で、レコードでの彼らの演奏に比べてより大胆なインプロヴィゼーションが展開されている。ある意味、彼らのライヴにより近い演奏と言えるかも知れない。

3.FUSELAGE / ROOT SOUL

エスペシャル・レコーズより12インチ「SPIRIT OF LOVE」でデビューを果たしたROOT SOULは、KYOTO JAZZ MASSIVEのライヴ・セットでもベースを担当する池田憲一によるユニット。彼はKJM関係の様々なセッションにベーシストとして参加するほか、自らプログラミングも行うプロデューサーである。ROOT SOULはバンド色を強く打ち出したユニットで、メンバーはその時々のセッションで流動的に入れ替わるが、本作のラインナップはDJ KAWASAKIの作品にも参加する中村 新史(キーボード)、SOIL & “PIMP” SESSIONSのタブゾンビ(トランペット)、Jazz Collectiveの廣瀬貴雄(トロンボーン)、CENTRALの栗原健 (テナー・サックス)となる。前曲を受けたロック色の強いナンバーで、ソリッドなビートを軸にメタリックなホーン、そしてファズの効いた重量感溢れるベースがカッティング・エッジな演奏を繰り広げる。沖野修也がプロデュースをする渋谷のクラブ、THE ROOMには彼らのようなミュージシャンが集まり、ジャム・セッションを行うことがあるが、そうした現場から産み落とされた1曲だろう。

4.逆襲のテーマ (CRO-MAGNON’S REVENGE MIX) / CRO-MAGNON

本作と時を同じくしてニュー・アルバム『GREAT TRIANGLE』を発表したCRO-MAGNON。大竹重寿(ドラム&パーカッション)、コスガツヨシ(ギター&ベース)、金子巧(キーボード)による3人組で、LOOP JUNKTIONを経て05年に12インチを発表し、瞬く間にアンダーグラウンドからの支持を得る。そして06年に発表したファースト・アルバム『cro-magnon』は日本のみならず、GILLES PETERSONなどのフック・アップによって海外でも話題に。この「逆襲のテーマ」は、そのファースト・アルバムの中でも特に人気の高い1曲である。ジャズ、ファンク、ヒップホップ、レゲエ、ダブ、ハウス、ディスコ、ロックなどの様々な音楽的要素を武器に、それらがメルティング・ポット状態で結び付いた雑多で猥雑な感触を、ダンス・ビートによって増幅させるのが彼らのスタイルだが、このナンバーではそうした思い切りの良さやカッコ良さが最大限に発揮されている。

5.SCOOP OUT / SOIL & “PIMP” SESSIONS

既にフル・アルバムも3枚発表し、日本から世界へと活動範囲を広げるクラブ・ジャズ・バンド、SOIL & “PIMP” SESSIONS。社長(アジテーター)、タブゾンビ(トランペット)、元晴(サックス)、丈青(ピアノ)、秋田ゴールドマン(ベース)、みどりん(ドラム)によるパフォーマンスは、レコード以上にライヴでその爆発力を発散させ、様々なフェスティヴァルからのオファーも絶えない。ジャズを基盤としながらも、どこかロック・バンド的な側面を感じさせる彼らだが、そうした彼らのクロスオーヴァーな魅力が顕になったのが、06年発表のセカンド・フル・アルバム『PIMP OF THE YEAR』収録の本作「SCOOP OUT」だ。エレクトリックなジャズ・ロック調のナンバーで、非常に複雑なビートを持つ上に、途中ではミニ・ムーグ風のキーボード・ソロもありと、プログレ的とも言えるし、ファンク的とも言える、何とも形容のし難い音楽性を持つ楽曲である。4のCRO-MAGNONにも共通するが、どのジャンルにも括れない、そして色々な要素が融合した音楽が持つ新しさ、そして有無を言わせぬ力強さがこの曲にはある。

6.ECLIPSE (LIVE VERSION) / Kyoto Jazz Massive Live Set

KYOTO JAZZ MASSIVEのコンポストからのデビュー曲にして、世界中で大ヒットし、SLEEP WALKERによるリワークも発表されている「ECLIPSE」。ここに収録のヴァージョンは、KJMの10周年記念として04年12月3日に恵比寿ガーデンホールで行われたライヴ・セットによる実況録音から。CDとして記録に残るのは今回が初めてとなる貴重な音源である。この時のバンマスは吉澤はじめが務め、中村雅人、藤井伸昭のSLEEP WALKERの面々、ROOT SOULの池田憲一が加わり、そしてヴォーカリストとしてウェスト・ロンドンからBEMBE SEGUEも参加。この日は他にも様々なゲストが出演したが、「ECLIPSE」の時はSOIL & “PIMP” SESSIONSのみどりんも加わってドラムがツイン・セットとなり、一番の見所とも言えるシーンであった。そのツイン・ドラムを生かしたポリリズミックなアフロ・ジャズ的アレンジで、BEMBEが原曲には無いワードレスなヴォイス・パフォーマンスを繰り広げる。11分を超す演奏であるが、その長さを感じさせないスリリングなインプロヴィゼーションが展開され、そして圧巻のツイン・ドラム・バトル。観衆の喚声も交え、まるでパフォーマーたちの汗が音と共に飛び散るようなライヴだ。クラブ・ジャズにおいては、時に長いソロや即興が煙たがれることがあるが、この演奏を前にしたら誰もそんなことは思わないだろう。ジャズの醍醐味とは、感情を自由に音として表現する即興なのである、ということを改めて思い知らせてくれる。

7.RITA (STUDIO LIVE VERSION) / JAZZTRONIK

レコード会社を移籍しての最新フル・アルバム『GRAND BLUE』を発表したJAZZTRONIKこと野崎良太。日本のクラブ・ジャズ・シーンを常にイノヴェートしてきたJAZZTRONIKも、08年には発足10周年を迎える。その間に膨大な量の作品をリリースし、ライヴやDJも精力的に行う野崎良太は、アンダーグラウンドなクラブ・シーンとポップ・フィールドをうまくリンクさせた最大の功労者の1人と言えよう。「RITA」は、02年にエスペシャル・レコーズから12インチとして発表され、後にミニ・アルバム『HORIZON』にも収録された。しかし、ここに収録のテイクはそれとは異なるスタジオ・ライヴ・ヴァージョン。04年にエスペシャルから限定12インチとして、「SAMURAI」の同じくスタジオ・ライヴ・ヴァージョンとカップリングされたもので、今となっては幻のテイクなのだ。ミステリアスなイントロに始まるアフロ・サンバ風の演奏で、ポップで親しみ易いサウンドを作るJAZZTRONIKのアナザー・サイドを見せるもの。ディープな中から疾走感に満ちたリズムが走り出し、そして野崎良太によるメロディアスなピアノ・フレーズ。10分30秒を超す長尺で、その中でビートがブロークンビーツ風に推移していくなど、ライヴならではのスリリングな魅力が詰まっている。プロデューサー的な視野に立つスタジオ録音盤と違い、一人の演奏家としての野崎良太の本領が発揮されたヴァージョンでもあるだろう。

8.oneself-LIKENESS / quasimode

06年にアルバム『oneself-LIKENESS』でデビューしたquasimode。平戸祐介(ピアノ)、松岡高廣(パーカッション)、須長和広(ベース)、奥津岳(ドラム)の4人組で、楽曲によってここにホーン・セクションなどが加わる。パーカッション奏者がいることもあり、国産クラブ・ジャズ・バンドの中でもラテン・ジャズ度の高い演奏を得意とするグループだ。今夏にはセカンド・アルバム『THE LAND OF FREEDOM』もリリースされるが、ここではファースト・アルバムから表題曲がチョイスされている。TUBBY HAYESのカヴァー「DOWN IN THE VILLAGE」と共にロウ・フュージョンから12インチ・カットもされ、またデビュー前からライヴのレパートリーに入っていた代表曲である。モード奏法も取り入れたハード・バップを軸に、ハウスの四つ打ちとも相性の良いビートは、やはりクラブ畑出身のバンドならではの持ち味と言えるだろう。ただ、そうしたクラブ・ジャズ・バンドとしての魅力のみにとどまることなく、モダン・ジャズのベーシックな部分もきちんと押さえている点が、彼らの強みではないだろうか。

9.FRIENDS-WE’LL BE / United Future Organization

本作に収録のアーティストの中ではダントツのキャリアを誇るUnited Future Organizationは、紛れも無く日本のクラブ・ジャズ・シーンを切り開いたパイオニアであると同時に、ワールドワイドに評価された国産クラブ・アーティストの走りで、事実彼らから影響を受けて音楽を始めたという海外のアーティストも多い。本作は矢部直、ラファエル・セバーグ、松浦俊夫の3人組だった96年のアルバム『3RD PERSPECTIVE』からの1曲。この『3RD PERSPECTIVE』自体が、007からインスパアされた架空のスパイ・アクション映画仕立でもあり、『BLACK FINGER』に通じる世界だったことは、何かの因縁かも知れない。変拍子やワルツなどを意欲的に取り上げていたUFOで、このナンバーも6/8拍のアフロ・ラテン・ジャズ。生演奏や女性ヴォーカルと、打ち込みやサンプリングとの融合も早い時点で完成させていた彼らだが、この10年以上も前のナンバーを聴いても、楽曲のクオリティーの高さには驚かされるどころか、07年に作られた楽曲と言っても十分に通用するだろう。ハープシコードを使ったアイデアも斬新で、知る限りでこれ以降にハープシコードを使った曲はクラブ・シーンからは出ていない。やはり彼らは革新者なのだ。また彼らの最大の魅力であるスタイリッシュな感覚は、やはり他の誰にも真似が出来ないだろう。

10.WALTZ FOR JASON (Yoshihiro Okino Re-edit) / HAJIME YOSHIZAWA

SLEEP WALKERと平行し、ソロ・ワークや自身のピアノ・トリオ、プロデューサー業、またKYOTO JAZZ MASSIVEの参謀役など、多彩な活動を続ける吉澤はじめ。本作は05年に発表されたソロ・アルバム『MUSIC FROM THE EDGE OF THE UNIVERSE』に収録されていたナンバーで、その後06年のリミックス・アルバム『ECHO FROM ANOTHER SIDE OF THE UNIVERSE』では、ウェスト・ロンドンのクラブ・ジャズ・ユニット、TWO BANKS OF FOURによってリミックスされていた。本ヴァージョンは初お披露目となるニュー・ミックスで、沖野修也の実弟であるKYOTO JAZZ MASSIVEの沖野好洋がリエディットを施している。前半部はオリジナル・ヴァージョンで、後半からはBEMBE SEGUEなどのコーラスを交えた2BO4ミックスに繋げ、最後にオリジナルへ戻るという構成。原曲を尊重しつつも、DJ的な視点でドラマティックな展開と、そこからの高揚感の持続、そしてクライマックスという流れを生み出した好編集と言えよう。

11.LOVE IS EVERYWHERE / MASA COLLECTIVE

SLEEP WALKERの中村雅人によるソロ・プロジェクト、MASA COLLECTIVE。今のところはエスペシャル・レコーズより12インチを1枚発表しているのみだが、来年には遂にアルバムを発表する予定と伝え聞く。本作はその唯一の12インチである06年度発表作で、彼が敬愛し、そしてSLEEP WALKERで共演も果たした巨人、PHAROAH SANDERSによるスピリチュアル・ジャズの名作のカヴァー。Gallianoの時代から親交のあるROB GALLAGHERとVALERIE ETIENNEをヴォーカルに迎え、そしてピアノは盟友の吉澤はじめ。声とアコースティク・ピアノ、そしてサックスのみで綴られる静穏とした楽曲で(KYOTO JAZZ MASSIVEによるハウス・ヴァージョンも大ヒットしたが)、リズム・セクションが無いが故、余計に切々とした情感が伝わってくる。ジャズであるが、そうしたジャンルを超えたところで、人種や年代を超え、多くの人の共感を呼んだ名曲だ。